ひざに変形や痛みがあると、太もも前にある大腿四頭筋、なかでも内側広筋という筋肉が萎縮しやすいと言われています。
これは、運動量の減少が原因となり筋力低下を起こす【廃用性筋力低下】が関係していますが、それだけではなく別の要素が関係していると言われています。
もう一つの要素が、【反射性筋力低下】と言われるもので、主に「痛み」によるもの、損傷や炎症による「関節腫脹」によるものがあると言われています。順に説明していきます。
◆痛みが筋肉の働きを抑え、筋力低下を起こす
関節からの持続的な痛み刺激は、周辺の筋肉にブレーキをかけてしまい筋力低下、そして筋萎縮を起こしてしまいます。ひざの場合、抑制は大腿四頭筋にかかります。
◆関節腫脹が筋肉の働きを抑え、筋力低下を起こす
変形性関節症によくみられる関節液が溜まった状態※や、靭帯・半月板損傷後の急性の腫れにより起こります。
※関節水腫といいます。 ひざに水がたまるというやつです。
少し詳しく書くと…
すべての関節は関節包という袋で覆われており、一定量の関節液が入っています。炎症を起こすと関節液はより多く作られ、吸収が間に合わず関節には関節液が溜まり、腫れた状態になります。
すると、関節包内部の圧が高まった状態になります。それに加え、大腿四頭筋の収縮はさらに関節包内部の圧を高めてしまいます。
それらを防ぐために、関節包を含むひざ周辺組織に多くあるセンサーが感知して、大腿四頭筋の働きを抑制するといったメカニズムです。
働きが抑えられると筋力低下、筋萎縮へとつながります。大腿四頭筋のなかでも内側広筋という内側の筋肉が影響を受けやすいと言われています。
これらを「関節原性筋力低下」といいます。
【引用】
関節損傷や炎症性関節では筋活動が大き
く抑制されるとし,本現象を「関節原性筋力低下」または関節原性筋力抑制と称した。
変形性ひざ関節症の進行予防には、筋力維持は重要で、筋トレを行う必要性は間違いなくあります。
しかし、それ以前に関節の腫れがあるなら、整形を受診し、関節液を抜くなどDr.の処置によるひざのケアも大切です。