歳を重ねても「動ける体」でいるために大事なのは、
◆歩くといった動作練習でなく、
その元になる「柔軟性、体幹の安定性、姿勢など」のパフォーマンスピラミッドの土台になる部分を高める必要がある。
というお話しでした。
そこで、今日は柔軟性について書いていきます。
体が硬いのを自覚している人は多いですが、ほとんどの人がそれを大して問題視していません。
「体硬いんだよー、ほら全然屈めない」で
普通終わりですよね。
でも、柔軟性の低下は将来いろんな体のトラブルを引き起こします。
❶動作時の衝撃吸収がうまく働かない。
歩く、走るといった動きは常に床から衝撃を受けていますが、筋肉がクッションとして働くことで衝撃を和らげたり、関節の小さな動きで力を逃がしたりしています。
背骨もS字の湾曲をもち、衝撃を和らげる構造をしています。
筋肉や関節自体が硬くなることで、これらの衝撃吸収機能が働かなくなります。
例えば、変形性ひざ関節症が進行すると、ひざが完全に伸びなくなります。すると、歩いている時(特に足の着地時)にひざで衝撃吸収が十分行えず、大きな衝撃がかかり、さらにひざの変形を進行させてしまいます。
❷可動域が必要な時、動かないところをかばう形で、周りの関節に負担がかかる。
これは、腰痛の記事でも説明したのですが、体はすべて連動して動くため、一つの関節が硬く動きがでないと、その隣接する関節がカバーしようとします。
股関節が硬い人は、ひざや腰で動きをカバーします。
背骨の胸椎(胸の部分)が硬いと、首や腰でカバーします。
これは、隣接した関節に、本来の動きを超えた、過剰な動きを強要してしまい痛みに繋がります。
股関節が硬い人は、腰痛や膝の痛みを持つ人が多く、
猫背の人(胸椎が硬い人)は、首や腰痛があることが多いです。
❸痛み→動かさない→痛みの神経を過敏に
これは柔軟性の低下とは少し違いますが、関節を動かさない不動の状態を作ると、痛みを伝える神経が過敏になり、慢性的な痛みに繋がる。ということが分かっています。
研究では、寝たきりやギプス固定を例にあげてましたが、経験上腰痛にもあてはまると思います。
腰の痛みがあると、普通腰を動かさないようにしますよね。すると、より痛みに過敏になったり、動かさないことで筋肉や関節は硬くなり、血流が悪くなり滞ることで、痛み物質が蓄積し、さらに痛みが悪化する。という悪循環に陥ります。
痛みがあっても少しずつ動かし、筋肉の柔軟性を高めていく必要があります。もちろん熱感や強い痛みがある急性期が落ち着いてから。
このように、柔軟性の低下は様々なトラブルを引き起こします。ストレッチは誰でも簡単にできますので、体が硬いということを軽視せずに行っていただけたらと思います。